都会に39年住んでから、山口県に家族で移住したふくパパです。🐡
「移住先ランキング」って、移住を考えはじめると一度は検索しますよね。僕も移住前、何度か眺めました。
この記事は、上位の県はなぜ上位なのかを知りたい人に向けて書いています。
先に、答えを2つ言います。
ひとつめ。山口県は「移住希望地ランキング」(2025年)の窓口相談部門で9位です。前の年の10位から、ひとつ上がりました。しかも山口県への移住者は年間4,751人。9年連続で過去最多を更新中です。派手さはないけれど、実は選ばれている県なんです。
ふたつめ。こっちが本題です。1年半住んでみて、順位で移住先は決まらないと思うようになりました。いちばん効いたのは、ランキングに1文字も出てこないことでした。子どもに友達ができるかどうかです。
この記事では前半で、ランキングと「みんなの移住のきっかけ」のデータをおさえます。後半が本題です。「自然」「ゆとり」「生活コスト」という移住理由が実際どうだったのかを、あなたにも同じことが起きるのか、起きないのかまで分けて書きます。期待が外れたことも正直に書きます。
移住先ランキングで山口県は何位?【2025年最新】
移住先ランキングでいちばん有名なのが、NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京・有楽町にある移住相談の窓口)が毎年発表している「移住希望地ランキング」です。移住の相談に来た人へのアンケートがもとになっています。いわば「移住したい人のリアルな人気投票」です。
最新は2026年2月に出た2025年の結果でした。窓口相談の部門は、1位群馬・2位栃木・3位長野。首都圏から近くて自然のある「ほどよい地方」が上位に並びます。
そして我が山口県は9位でした。前の年の10位から、ひとつ上がっています。中国・四国地方では唯一の10位以内です。セミナー参加者の部門では、2024年に19位から6位へ一気に上がった年もありました。
正直に言うと、移住するまで僕は、山口県がトップ10に入る県だとは思っていませんでした。「移住先」と聞いて浮かぶのは長野とか沖縄で、山口はノーマークだったんじゃないでしょうか。
ただ、住んでいる身として紹介したいのは、順位よりこっちの数字です。山口県への移住者は年間4,751人。しかも9年連続で過去最多を更新中です(2026年5月、KRY山口放送ほか報道)。ランキングは「行きたい県」の人気投票ですが、こちらは「実際に移住した人」の数。山口県は、派手にバズってはいないけれど、現実に人が移り住み続けている県なんです。移住2年目の実感としても、これは腑に落ちる数字です。
みんなの移住のきっかけは「自然」「ゆとり」「お金」
次に、「みんなは何がきっかけで移住するのか」です。内閣官房の意識調査によると、地方暮らしに関心を持った理由の上位は、①自然にあふれた環境(55.8%)②空間的・時間的に余裕のある生活(49.4%)③生活コストが安い(49.4%・同率2位)でした。「自然」「ゆとり」「お金」。移住のイメージそのままの並びですよね。
もうひとつ、「わかる」と思ったのが総務省の調査です。移住を決めた理由に「ふるさとで暮らしたい」を挙げた人が25.1%、「家族や親せきの近くで暮らしたい」が21.4%。つまり移住した人の4〜5人に1人は、まったく知らない土地ではなく「縁のある土地」を選んでいます。僕もまさにこれで、移住先は妻の地元でした。
この「縁があるかどうか」は、後半でもう一度出てきます。僕の移住でいちばん効いたのが、ここだったからです。
ちなみに僕の一番のきっかけは③の「お金」でした。インフレとじわじわとした金利の上昇で、都市部で暮らし続ける意味に疑問を感じたのが出発点です。この経緯は別の記事に詳しく書いています。
【関連記事】地方移住でお金の不安は減る?インフレ時代に移住を選んだ理由と結果
では、この「自然」「ゆとり」「お金」という3大きっかけは、実際に移住してみたらどうだったのか。ここからが本題です。
ランキング上位の移住理由、実際どうだった?——移住2年目の本音
「自然にあふれた環境」→ 本当。ただし、よかったのは景色より”鼻”だった
自然が豊かなのは、期待どおりでした。海も山も日常の風景です(子どもたちと海で遊ぶ話は別の記事に書きました)。
でも僕にとっていちばんの誤算は、景色ではありませんでした。長年悩まされてきたアレルギー性鼻炎が、移住してから明らかに軽くなったんです。
都市部にいた頃は、季節を問わずティッシュが手放せない生活でした。それが今は、薬に頼る日が目に見えて減っています。空気なのか、住環境なのか、正確な理由は僕にもわかりません。
ただし、これはあなたに起きるとは限りません。あくまで僕個人の体感です。移住を決める理由にしていい話ではありません。「自然豊かな環境」のご利益が、まさか鼻に来るとは思っていませんでした。移住のメリットって、事前に想像していたものとは違うところに転がっていたりします。
【関連記事】【地方移住✕暮らし】移住してよかったこと——子育て・海・心のゆとり、正直に書く
「余裕のある生活」→ スローライフではない。でも”暮らしの余白”は本物
正直に言うと、僕に「スローライフ」は当てはまりません。移住しても仕事は変えていないので、平日は移住前と同じように働いています。畑を耕してのんびり、という生活では全然ないです。
それでも、「余裕のある生活」は嘘じゃないと感じています。効いているのは、たぶんこの2つです。
① 働き方の余白。 同じ仕事でも、都市部の職場に比べてノルマや数字の縛りがきつくありません。自分のペースで働ける環境になりました。仕事の中身は同じなのに、すり減り方が違います。満員電車がなくなったのも大きいです。
② 日常の余白。 象徴的なのが、休日のカフェです。都市部のカフェのテーブルには、よく「1オーダー90分制」のシールが貼ってありました。こっちのチェーン型喫茶店には、あのシールがありません。駐車場も広くて駐車料金はもちろん無料、店内も広々です。「混んできたので……」と席を立つあの感じが、日常から消えました。
小さいことに見えて、この「急かされない」の積み重ねが、余裕のある生活の正体なんじゃないかと思っています。
ただし①は、あなたに起きるとは限りません。僕は仕事を変えずに、同じ組織の別の拠点へ移りました。転職して移住する人は、職場のきつさが変わるかどうかは行ってみないとわかりません。②のほうは、地方に行けばだいたい付いてきます。
【関連記事】【地方移住✕仕事】仕事を変えずに移住できた話——「転職しない移住」と「転職する移住」の選択肢を全部書く
「生活コストが安い」→ これは体験済み。数字で書いています
3つ目の「生活コスト」は、僕の移住のきっかけそのものでした。だからこのブログでは、ずっと数字つきで書いてきました。結論だけ言うと、我が家は住居費を中心に固定費が大きく下がり、家計はプラスに転じました。
ただし、これも全員に同じことが起きるわけではありません。効くのは、いまの住居費に下げしろがある人だけです。家賃や住宅ローンがもともと高くない人は、移住しても家計はほとんど変わりません。大きく下がるのは住居費であって、食費や電気代ではないからです。
固定費のビフォーアフターは、実額つきで下の記事に全公開しています。
【関連記事】【地方移住×お金】移住して家計はどうなった?固定費ビフォーアフター全公開——結論、年間約60万円軽くなった
縁のない土地に移住する人は、どうなるか
ここまで読んで、気づいた方もいると思います。僕の移住は、移住先が妻の地元だったことに、かなり支えられています。
移住先の候補は、ほかにありませんでした。ランキングを見て比べたわけでもありません。僕は移住先を「選んで」いないんです。妻の地元、それだけです。だから選び方を偉そうには書けません。書けるのは、住んでみて分かったことだけです。
住んでみて、いちばん効いたものがはっきりしました。支援金でも、自然でもありません。子どもの友達です。
妻の友達の子どもが、うちの子と同じくらいの年でした。しかも近所です。休日になると、誘ったり誘われたりで、わいわい集まって遊んでいます。移住した初日から、子どもに遊び相手がいる状態でスタートできたんです。親どうしも気を使わずに済みます。これは移住の満足度のかなりの部分を占めています。
だから、裏返すとこうなります。まったく縁のない土地に移住していたら、いちばん困ったのは友達づくりだったと思います。大人の友達もですが、それ以上に子どもの友達です。
ここまでを一言にすると、こうです。県の順位より、その土地に連絡できる人が1人いるかどうかのほうが、はるかに効きます。親でも、きょうだいでも、学生時代の友達でもいいです。
0人だった人も、移住してはいけないという話ではありません。最初の1年は、友達づくりを自分から始める前提で計画を立てる、ということです。移住したその日から誰かが誘ってくれるわけではありません。僕は妻の地元だったので、ここを自分でやらずに済みました。だから「大丈夫ですよ」とは言えません。
正直、アテが外れたこと——自転車には乗らなくなった
いいことばかり書いても信用されないと思うので、期待が外れた話も書きます。
僕は自転車が好きで、移住のとき自転車もわざわざ持ってきました。「自然の中を走れるぞ」と楽しみにしていたんです。
結果は——ほとんど乗らなくなりました。
理由は、こっちが想像以上に車社会だったこと。皮肉なことに、自転車道や広い歩道はむしろ都市部のほうが整備されていて走りやすいんです。こっちでは移動はみんな車です。自転車に乗っている人が超少数派なので、車道を走っていると自分が「交通弱者」として浮いているのを感じます。ドライバーからしても、たまにしかいない自転車は扱いに困る存在だと思います。そう感じてから、だんだん乗らなくなりました。
その自転車は、いまもばあば家のへりに立てかけたままです。この前見たら、蜘蛛の巣がついていました。
つまり、地方移住のリアルは「車が完全に必需品」ということです。我が家も移住にあわせて車まわりを整えました。車を持つと、お金の話が一気に増えます。我が家のカーリース・自動車保険の実体験は、下の関連記事からどうぞ。
【関連記事】【地方移住✕車】2台必須の田舎暮らし、カーリースは割高だった話
【関連記事】【地方移住×車】自動車保険は一括見積もりで見直す|2台で年7万円にできた実体験
ちなみに、アテが外れたこと・しんどかったことは自転車以外にもあります。「後悔したこと10個」として別の記事に全部まとめました。
【関連記事】地方移住はやめとけ?山口に家族で移住して2年目の僕が、後悔したこと10個と「向かない人」を正直に書く
支援金より、「その土地に好きなものがあるか」のほうが長く効く
移住先を比べるとき、支援金の額や家賃の相場は誰でも調べます。でも住んでみると、効いてくるのは別のものでした。その土地に、自分の好きなものがあるかどうかです。
僕の場合はお酒でした。山口は地酒の県です。全国区の獺祭(だっさい)はもちろん、雁木(がんぎ)、東洋美人、貴(たか)。酒どころと呼ばれる県に負けない銘柄が、県内のあちこちの蔵からそろっています。スーパーや酒屋で地元の酒がずらっと並んでいるのを眺めるだけでも、ちょっと楽しい。
支援金は1回きりですが、好きなものが近くにあることは、結構うれしいんです。候補地を比べるときは、支援金の額と一緒に、こっちも見てみてください。お酒でも、山でも、釣りでも、ラーメンでも温泉でも何でもいいと思います。なにか自分の推しがあれば。
まとめ:順位より、子どもに友達ができるかどうか
最後に、この記事の要点です。
- 🏅 山口県は移住希望地ランキング(2025年)で窓口相談9位。中国・四国では唯一の10位以内で、移住者は9年連続で過去最多を更新中
- 🌱 「自然」は本当。ただし鼻炎が軽くなったのは僕個人の体感
- ☕ 「ゆとり」も本当。ただし働き方の余白は、仕事を変えない人の話。カフェに90分制のシールがない、みたいな日常の余白は誰にでも付いてくる
- 💰 「生活コスト」が下がるのは、いまの住居費に下げしろがある人だけ
- 🚲 アテは外れる。僕の場合は自転車。地方は車社会。ここは僕が甘く見ていました
- 👦 そして順位より効いたのは、子どもに友達ができるかどうかでした
移住のきっかけは、ランキング上位の「自然」や「スローライフ」みたいな、キラキラしたものじゃなくていいと思います。僕のきっかけは「お金」でした。それでも移住して2年目、暮らしの満足度は間違いなく上がりました。
そのうえで、正直に言うと——僕は移住先を選んでいません。妻の実家側に移り住んだ、それだけです。その縁も妻のもので、僕は一人ぼっちです。笑
行き先が決まったら、次は段取りです。我が家の段取りの全記録は、下の記事にまとめています。
【関連記事】【子連れ✕移住】のやることリスト|マンションは引っ越してから売った
【出典】移住希望地ランキング:ふるさと回帰支援センター(2026年2月24日発表)/移住のきっかけ:内閣官房 移住等に関する意識調査/山口県の移住者数:KRY山口放送(2026年5月19日報道)/移住を決めた理由:総務省「田園回帰」に関する調査研究報告書



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