都会に39年住んでから、山口県に家族で移住したふくパパです。🐡
移住をきっかけに始めた固定費の見直し。NHK、自動車保険と手をつけてきて、次に向き合ったのが「保険」でした。
結論から言うと、我が家は医療保険・がん保険・貯蓄型保険をぜんぶ解約しました。内訳は、医療保険とがん保険が夫婦2人で月約1万円=年間約12万円。貯蓄型保険が月約1.7万円=年間約20万円。あわせて年間約32万円の保険料が、家計から消えました。しかも貯蓄型保険は、途中解約で約30万円の損を確定させてまで手放しました。
「え?ちいさい子どもがいて、万が一のとき大丈夫なの?」そう思われる方もいるかもしれません。
この記事は、毎月の保険料を高いと思いながら、やめるのが怖くて動けない人に向けて書いています。僕もそうでした。保険だけは、何年も見直しの対象から外していました。
それでも「解約してよかった」と思っています。なぜそう言い切れるのか。気持ちの話ではなく、制度と数字で説明できます。順番に書いていきます。
① 保険は固定費の「聖域」だった
保険は、固定費の中でもいちばん見直しにくい項目だと思います。
「万が一のとき」を人質に取られています。だから解約を考えるだけで、なんとなく不安になる。そうやって何年も「なんとなく」で払い続けてしまう——我が家もまさにそうでした。
でも移住は、暮らしを一度ゼロから組み直すタイミングです。「この保険、本当に要るんだっけ?」と、一つひとつ棚卸しすることにしました。NHKと自動車保険の見直しは、それぞれ別の記事に書いています。
【関連記事】【地方移住✕固定費】NHKを解約した話——年間約2万円が浮いて、暮らしも整った
【関連記事】【地方移住×車】自動車保険は一括見積もりで見直す|2台で年7万円にできた実体験
② 高額療養費制度を知ったら、医療保険の見え方が変わった
まず医療保険。解約の決め手は、高額療養費制度という仕組みをちゃんと知ったことでした。
これは健康保険に最初からついている仕組みです。医療費の自己負担には、月ごとの上限があります。ふつうの収入の会社員なら、どんなに医療費がかかった月でも、自己負担は月9万円ちょっとで頭打ちです。
上限には、うまい作りがあります。医療費がおよそ28万円をこえたら、そこから先はふえた分の1%しか払いません。
だから100万円かかっても300万円かかっても、自分が払う額はたいして変わりません。その差は2万円です。

※上限の額は収入によって変わります。じつは2026年8月に、この上限が引き上げられました。ふつうの収入の会社員だと、医療費100万円の月で約8万7千円→約9万3千円です。上がったのは5千円ちょっとでした。
つまり「入院したら何百万円もかかって破産する」ということは、日本の制度ではそもそも起きにくいんです。
ここまでは、月ごとの話です。
では、治療が何ヶ月も続いたらどうなるのか。ここが、僕がいちばん引っかかったところでした。
月の上限には、続きがあります。直近12か月に3回上限に達すると、4回目からは月4万4千円に下がります。「多数回該当」という名前がついています。
じつは2026年8月から、年ごとの上限も新しくできました。
ふつうの収入の会社員なら、1年で53万円が天井です。この「年」は、8月から翌年7月までを数えます。

ただし、月の上限と年の上限では、お金の戻り方がちがいます。
月の上限は、マイナ保険証を出して同意すれば、窓口で止まります。100万円をいったん立て替える必要はありません。
年の上限は、窓口では止まりません。いくつもの病院にまたがって1年ぶんを合わせないと決まらないので、あとから健康保険に返してもらうかたちです。
もちろん、病気やケガには運もあります。だから我が家は、解約の根拠を「健康だから大丈夫」ではなく、制度と貯金に置きました。
差額ベッド代など、制度の外になる出費もあります。それでも「月の上限+α」を出せる貯金があれば、民間の医療保険に毎月払い続ける理由は弱い。保険で備えるのは、数千万〜億単位の「人生がこわれる事態」だけでいい——そう整理できたとき、医療保険は我が家には要らないと決められました。
③ がん保険は「確率」と「総額」で考えたら、やめられた
次にがん保険。こちらは「確率」と「総額」のふたつで考えました。
まず、確率の話。 がんの治療も、大部分は公的保険の範囲で受けられます。高額療養費制度も使えます。自己負担に上限がなくなるのは、公的保険のきかない自由診療などを選んだときです。調べた範囲では、そこまでいく人はごく一部でした。
その「ごく一部」に備えて、何十年も毎月数千円を払い続ける。我が家には、それが理にかなっているとは思えませんでした。
次に、総額の話。 我が家のがん保険は5年ごとの更新で、そのたびに保険料が上がる設計でした。そして、がんになる人がいちばん多いのは70代から80代です。「本当に備えたい時期」まで持ち続けるなら、これから30年も40年も、上がり続ける保険料を払うことになります。
試しに計算しました。医療+がんの月1万円を40年払い続けると、それだけで約480万円。更新で上がる分を入れれば、実際はもっと大きくなります。
使うかどうかわからない安心に、それだけのお金を払い続ける。それより、同じお金を投資に回したい。仮に年12万円を年利7%で20年積み立てられたら、約520万円になる計算です。がんにも使えるし、がん以外の何にでも使えます。
※過去の平均をもとにした単純計算です。将来の運用成果を保証するものではありません。
妻は、がん保険だけ反対した
実は、この解約に妻は最初反対でした。とくにがん保険です。
そこで、リビングでお金の解説動画を一緒に見てもらいました。自由診療まで行く人がどれだけ少ないか。高額療養費制度という仕組みがあること。ある程度の貯金があれば、それで受け止められること。
見終わるころには、妻の顔から険しさが消えていました。それでも最後にひと押しが要る気がして、こう言いました。
「その代わり、Netflix入っていいよ」
「えーやったー」
決まりました。年12万円の保険料と、動画配信のサブスクひとつ。交換条件としてどうなのかとは自分でも思います。でも我が家は、これで前に進みました。
④ いちばんの毒キノコは「貯蓄型保険」だった
そして今回、いちばん書きたかったのがこれです。ドル建ての貯蓄型保険は、我が家にとって毒キノコでした。
契約したのは、長男が生まれる前。投資のことは何も知りませんでした。
保険ショップで言われたのは「保障もついて、お金も貯まる」。ドル建ての15年契約です。そのころのドル円は、今よりずっと円高でした。月々の支払いは2万円ちょっと。妻も一緒でした。
円安で、払う額がどんどん増えた
ところが、そこから円安が進みます。130円、140円、145円。
引き落とされる額も、それに合わせて増えていきました。ある月、2万9千円になっていました。
おいおい。
ドル建てとは、そういう商品です。保険料はドルで決まっていて、払うときのレートで円に直されます。円が安くなれば、出ていく円は増える。「お金が貯まる」と言われて入ったのに、増えたのは払う額のほうでした。
契約のときにこの説明を聞いた覚えは、正直ありません。聞いていたとしても、当時の僕にはわからなかったと思います。
見直しに行ったら、円安を売り文句にされた
2年ほど前、保険ショップに相談に行きました。担当者に言われたのが、これです。
「今の時代、ドルで資産を持ってるのは強いですよ」
へー、そんなんだ。無知だったので、そう思いました。
いま振り返ると、おかしな話です。保険料が上がって困って相談に来た人に、その円安を売り文句として返している。 でも当時は気づきません。解約という話は出ないまま、月々の額を減らして、その日は帰りました。
電話をかけて、「は?」と言った
ちゃんと中身を見たのは、それからです。
保険証券を引っぱり出して、保険会社に電話しました。聞いたのはひとつだけ。いま解約したら、いくら戻ってくるのか。
返ってきた数字を聞いて、口から出たのがこれでした。
「は?」
ぜんぜん増えていないんです。それどころか、6年で約120万円払ってきたのに、戻ってくるのは約90万円。返戻率にして75%ほど、約30万円のマイナスでした。
さらに、契約のときにもらった返戻率の表を引っぱり出しました。15年かけて満額払い切った直後でも、返戻率は96〜99%。 プラスに転じるのは、ようやく18〜20年目あたりです。
つまりこの商品、最後まで付き合っても元本割れする設計でした。裏を返せば、それだけ長いあいだ保険会社が手数料を取り続ける仕組みだ、ということです。
(正確に言うと、途中で減額したときにも返戻金が入っています。ドル建ては払う額も戻る額もレートで動くので、損得はもっとややこしい。契約している本人が計算できない——それ自体がこの商品のやっかいなところだと思います)
じゃあ保障は手厚かったのか
いいえ。死亡時に受け取れるのは300万円ほどでした。遺された家族が暮らしていける額ではありません。
貯蓄としては元本割れ、保障としては心もとない。 どっちつかずの商品だと、数字を見てようやくわかりました。
同じお金を全世界株のインデックス投信(いわゆるオルカン)で15年積み立てていたら、どうだったか。歴史的な平均リターン(年利7%ほど)で計算すると、払い込んだ額の約1.8倍になる期間です。その差は、まるごと保険会社への手数料ということになります。
※過去の平均をもとにした単純計算です。将来の運用成果を保証するものではありません。
妻のひとことで決まった
解約すれば、約30万円の損が確定します。正直、迷いました。
妻に話したとき、返ってきたのがこれです。
「まあ納得いってないんなら、その後もずっと払い続けるのしんどくない?」
それで決まりました。6年でやめても損、15年払い切っても損。どうせ損なら、傷が浅いうちにやめる。残り9年分のお金を、まともな投資に回すほうがいい。
最後は自動音声だった
解約の手続きは電話でした。そして、出たのは自動音声。番号を押していくだけ。引き止めもなければ、理由を聞かれることもない。6年つき合って、30万円を置いていく相手が、最後は機械の声です。
そっけないな、と思いました。
がん保険のほうは人が出ましたが、こちらも引き止めはなし。「今までありがとうございました」という定型文だけでした。
電話を切ったあとに残ったのは、すっきりした気持ちだけです。すでに払ったお金を惜しんで、これからのお金まで注ぎ続ける。それがいちばんもったいない。
⑤ 解約できた本当の決め手は「生活防衛費」
ここまで読んで、「理屈はわかるけど、保険なしは不安」と感じた人もいると思います。その感覚は正しいです。
迷いなく解約できたのは、制度を知っていたからだけではありません。マンションの売却益で、生活防衛費(生活費の1〜2年分の現金)を確保できていたことです。
急な入院も、当面の暮らしも、貯金で受け止められる。その土台があって初めて、「保険は卒業して、浮いたお金は投資へ」という選択ができました。順番はこうです。
- まず生活防衛費を貯める(ここまでは保険に頼るのもあり)
- 防衛費ができたら、保険を最小限に絞る
- 浮いた保険料を新NISAなどの投資に回す
これがいちばん現実的だと思います。
我が家が売却益と浮いた固定費をどう運用しているかは、別の記事にまとめています。
【関連記事】【地方移住×お金】マンション売却益1800万円を、新NISAと高配当株でこう運用した
【関連記事】高配当株、利回り何%を狙う?銘柄名を出さずに“選び方の基準”を全公開【新NISA】
⑥ 収入保障保険は、入るつもりで調べて、やめた
かっこよく「保険は卒業」と書いてきましたが、ひとつだけ本気で入ろうとした保険があります。掛け捨ての収入保障保険です。
自分に万が一のことがあったとき、残された家族に毎月お金が入る保険です。掛け捨てなので保険料は安い。子どもがまだ小さいので、これだけは要るんじゃないか。そう思って資料を取り寄せました。
結局、入りませんでした。理由は2つあります。
ひとつは、計算したら足りたからです。僕個人の資産はそのとき2,500万円ほど。ここに遺族年金が乗ります。僕がいなくなったあと、妻と子ども2人が暮らしていける額を出してみました。答えは、保険がなくても回る、でした。
もうひとつは、正直こっちのほうが大きいかもしれません。一度問い合わせをしたら、そのあとの勧誘の電話がしつこかった。 それで気持ちが冷めました。
ただ、これはこの資産があってこその結論です。貯金がまだ少なくて、子どもが小さいなら。掛け捨ての収入保障保険は、むしろ賢い選び方だと今でも思います。保険がぜんぶ悪いわけではありません。「貯金で受け止められない事態」に、掛け捨てで安く備える。それが保険の正しい使い方だと思います。
⑦ ただし、全員に「解約しましょう」とは言わない
念のため、はっきり書いておきます。この記事は「保険はぜんぶ無駄」という話ではありません。
- 🏦 生活防衛費がまだ無い人 → 先に貯金を。それまでは掛け捨ての保険が命綱になります
- 👨👩👧 小さい子どもがいて、これから貯めていく人 → 掛け捨ての収入保障保険は検討の価値ありです
- 🏢 自営業・フリーランスの人 → 会社員より公的な保障が薄いので、話が変わってきます
我が家は「会社員+高額療養費制度+売却益で防衛費あり」がそろっていました。だからここまで思い切れたんです。ぜひ、ご自身の条件に置き換えて考えてみてください。
我が家が「残した」保険もあります
解約の話ばかり書いてきましたが、やめなかった保険もあります。今も入っているのは、この2つだけです。
- 🔥 火災保険(月約400円)
- 🚗 自動車保険(ただし車両保険は外しています)
残すか外すかの基準は、ひとつだけでした。
貯金で払える損害は、自分で持つ。払えない損害だけ、保険に出す。
この物差しで並べ直すと、我が家の判断は全部つじつまが合います。
- 医療費 → 高額療養費制度と生活防衛費で払える → 解約
- 火災 → 借りている部屋を焼いたら、大家さんへの賠償と家財の買い直しが一度に来る。とても払えない → 月400円で残す
- 対人・対物の事故 → 賠償が億単位になりうる → 残す
- 車両保険 → 自分の車なら、最悪は買い直せる → 外す
保険をやめた、と書くと無保険のように聞こえるかもしれません。でも我が家は無保険ではありません。起きたら家計がこわれる損害にだけ、絞って備えている。そういう状態です。
車両保険を外した判断や、2台ぶんの保険料をどう下げたかは、別の記事に書いています。
【関連記事】【地方移住×車】自動車保険は一括見積もりで見直す|2台で年7万円にできた実体験
⑧ まとめ:保険の見直しは、固定費見直しのラスボスだった
我が家の保険解約を振り返ると、こうなります。
- 🏥 医療保険 → 高額療養費制度+貯金で足りると判断して解約
- 🎗️ がん保険 → 自由診療までいく確率はごく一部×5年ごとに保険料が上がる×がんになる人が多いのは70〜80代。「確率と総額」で考えて解約
- 🍄 貯蓄型保険 → ドル建てで、円安のたびに払う額が増えた。15年払い切っても元本割れする設計と判明。6年目に約30万円の損切りを選んで解約
- 💰 結果、保険料あわせて年間約32万円が浮き、投資に回せるお金が増えた
- 🛡️ 決め手は生活防衛費の確保。順番は「防衛費→保険を絞る→浮いた分を投資へ」
- 🔥 ただし火災保険(月約400円)と自動車保険は残した。基準は「貯金で払える損害は自分で持つ/払えない損害だけ保険に出す」
NHK、自動車保険、そして保険本体。移住をきっかけに固定費を見直してきて、保険はいちばん手をつけにくい相手でした。それでも終わってみれば、浮いたお金もいちばん大きい。
「なんとなく」で払い続けている保険がある人は、移住や引っ越しのタイミングでぜひ一度、棚卸しをしてみてください。



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